医薬品や医療機器を製造する工程で求められる厳しい品質保証の要件を満たし

バリデーションを加速するキスラーのプロセス監視システムmaXYmos TL ML
maXYmosシステムは、インダストリー4.0・スマートファクトリー・IoT化の潮流の元、特に自動車や電機電子機器産業の分野で、プロセスの自動監視と分析に広く使用されています。ポイントは、力、圧力、およびトルクに基づく不良部品の自動分離にあり、目標はインプロセスの100%検査による、ゼロディフェクト生産です。

既に、医療機器の分野でも、インスリンペンやディスク型吸入器などの組立・検査工程に活用(関連資料)されていますが、この分野でのさらなるプロセス監視の要望の高まりにお応えして、FDA(米国食品医薬品局)およびMDR(医療機器報告規則)のガイドラインに厳密に準拠(21 CFR Part 11 認定機器)したmaXYmos TL MLプロセス監視システムを開発しました。

maXYmos TL MLに搭載された機能は、医療業界の規制要件に準拠しており、
製造設備のバリデーションを進める上での大きな手助けとなります。
Kislter maXYmos TL ML 5877B
キスラーの水晶圧電式荷重(力)センサと工程監視モニタmaXYmos TL MLを組み合わせたシステムは、以下の利点があります。
  • 安定かつ厳密な組立・加工品質管理を迅速に実現します
  • 製造バリデーションの文書化工数を大幅に削減できます
  • 不具合品流出の削減に貢献します
インプロセスの荷重(力)測定の意義
加工・組立プロセスや検査時の製品に直接加わる荷重の変動の測定値・波形は、製造品質を左右する直接的な基準となり、プロセスのパラメータの限界を明確にできます。

たとえば、この図はシリンジの摺動抵抗を測定した波形で、縦軸が力(N)、横軸が変位量(mm)です。この例では、押し込み時のガスケットとバレルの摺動抵抗が潤滑剤の量によって、摺動抵抗が変化していることが正確にわかります。
例:シリンジの摺動抵抗測定

このような測定により、医療機器製品の製造・検査を100%見える化することで、
  • 部品の精度不良、破損を組立時に検出し、不良品を選別(OQ)
  • 機器可動部の動的機構の検査、使用感の安定化による使用者の負担、不安の軽減
  • 工程の安定性をモニタ、製造装置の保全、不調や条件変動の検出(PQ)

が、可能になります。また、さらに機器の設計、開発の早期の段階からの実験では
  • OQで見るべきプロセスのパラメータとその限界、定量的な品質基準の設定
  • 試作品の評価、検査
  • 使用感の定量化と改良

にも活用することができます。

※ご参考:他の測定事例(YOUTUBE動画) ‒  打抜き工程の材料厚みのわずかな差を検出
医療機器メーカー向けに最適化された製造プロセス
maXYmos TLは、プロセスの詳細を測定波形として見える化し、バリデーションにおいてパラメータの限界を定義することを容易にします。
そして、このシステムは生産ラインに統合され、測定波形に基づいて、特定の製造ステップの品質を監視および評価し、製品の品質を保証することができます。
判定機能(EO)を使用して、この許容範囲を特定の監視タスクに適合させることができます。判定基準の設定は、波形表示に沿ってタッチパネルで直感的に行えます。この仕様に基づいて、ひとつひとつの製造品の良否が判断されます。
 
さらに、新製品maXYmos TL MLでは、医療機器の製造メーカーおよび製造設備メーカー向けに、医療機器製造特有の規制・ガイドラインに準拠し、バリデーションプロセスを加速する下記の機能を提供し、プロジェクトの期間短縮に貢献します。
  • 明確な基準によるプロセス管理と評価(OQおよびPQ)
  • トレーサビリティの実現: 時刻と使用者情報を含む製造品毎の検査データの詳細な記録と広範なインタフェイス(電子ファイル・通信・印刷)の提供
  • IQ・OQのテストプランチェックシート
  • 監査証跡(audit trial):すべてのテスト条件の変更履歴の記録とファイル出力
  • ユーザパスワードの変更履歴
例:判定基準の設定例
プロセスの信頼性と安定性を高めるキスラーの水晶圧電式センサ
こうした、プロセスのパラメータの限界を示す価値のある荷重の変動波形の監視には、キスラーの水晶圧電式センサ特有の優れた特性が真価を発揮します。
その特性とは、以下3点です。

  • 堅牢性:衝撃に強く超長寿命で量産工程でも劣化なし
  • 応答性:微小かつ早い荷重変動を捉える
  • コンパクト:生産設備に取り付けやすいサイズと形状 

これらの要件を満たし、医療機器製造監視の分野で特に実績の多いセンサが、9232Aプレスフォースセンサです。このセンサは最小5Nのレンジと5kN以上の許容過負荷を兼ね備えています。このセンサは校正済みで、ねじで取り付けるだけで測定が可能です。

力センサとして一般的なひずみゲージ式のロードセルでは、原理上、堅牢性と応答性は相反し、また、取付けには追加の支持構造が必要となる形状であるなど、これらの特性を兼備することは困難です。
システム概要
キスラーは、①Y軸センサ(力・圧力・トルク)、②X軸センサ(位置センサ)、③maXYmos TM MLとケーブル等のアクセサリを供給します。
システム構成例
①    Y軸の力センサは推奨の9323Aプレスフォースセンサのほか、プロセスと装置形状に合わせて、豊富なバリエーションの水晶圧電式センサをご提案できます。
②    X軸の位置センサは25mm~100mmの各種ストロークから選定いただけるほか、各種の位置センサの出力信号の入力インタフェイスも備えており、お客様でご用意いただいたセンサの接続も可能です。X軸のセンサを使用せずにX軸を時間表示とした測定も可能ですが、X軸を位置として測定ことで、波形から読み取れるプロセスの詳細と製品の出来栄えとの関係がより理解しやすくなります。
③    maXYmos TL は、PLCやPCとの通信、データ・結果の保存のために様々なインタフェイスを備えており、制御とプロセスデータ・判定結果の上位レイヤへの転送が可能で、トレーサビリティの実現、プロセスのIoT化の実現も容易にします。
また、maXYmos TM MLは自動化された製造設備だけでなく、ハンドプレス等を用いたマニュアル作業の工程の見える化にも有効です。この場合、位置センサの信号により、プレスの上げ下げに連動して自動的に測定が開始・停止されるので、制御入力は必要ありません。


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